top of page

便秘治療薬とは?

7月22日
読了時間: 3分

便秘治療薬(べんぴちりょうやく)とは、便秘を改善し、正常な排便を促すための薬の総称です。

便秘にはさまざまな原因があり、便を柔らかくする薬、腸の動きを促す薬、腸内の水分量を増やす薬など、作用機序の異なる薬が使い分けられます。

便秘の主な種類

  • 機能性便秘

    • 弛緩性便秘(腸の動きが弱い)

    • 痙攣性便秘(腸が過度に収縮する)

    • 直腸性便秘(便意を感じにくい)

  • 器質性便秘

    • 大腸がんや腸閉塞などによる便秘

  • 薬剤性便秘

    • オピオイド、抗コリン薬、一部の抗うつ薬などが原因

主な種類

① 浸透圧性下剤

腸内に水分を引き込み、便を柔らかくして排便を促します。

代表薬

  • 酸化マグネシウム

  • ラクツロース

  • マクロゴール(ポリエチレングリコール)

  • ソルビトール

特徴

  • 第一選択となることが多い

  • 比較的習慣性が少ない

副作用

  • 下痢

  • 腹部膨満感

  • 高マグネシウム血症(腎機能低下時に酸化マグネシウムで注意)

② 刺激性下剤

大腸を刺激して腸の動きを活発にします。

代表薬

  • センノシド

  • ピコスルファートナトリウム

  • ビサコジル

特徴

  • 効果が比較的速い

  • 長期連用は避けることが推奨される

副作用

  • 腹痛

  • 下痢

  • 長期使用で効果が弱くなることがある

③ 上皮機能変容薬(分泌促進薬)

腸管内への水分分泌を増やし、便を柔らかくします。

代表薬

  • ルビプロストン

  • リナクロチド

  • エロビキシバット(胆汁酸トランスポーター阻害薬)

適応

  • 慢性便秘症

  • 便秘型過敏性腸症候群(薬剤による)

副作用

  • 下痢

  • 悪心

  • 腹痛

④ 胆汁酸トランスポーター阻害薬

胆汁酸が大腸へ届く量を増やし、腸の運動や水分分泌を促します。

代表薬

  • エロビキシバット

特徴

  • 慢性便秘症に用いられる

⑤ 消化管運動促進薬

腸の動きを改善して排便を促します。

代表薬

  • モサプリド(一部の患者で使用)

  • アコチアミド(主に胃機能改善薬であり、便秘治療の中心ではありません)

⑥ 浣腸・坐薬

直腸内で便を柔らかくしたり、排便反射を促したりします。

代表薬

  • グリセリン浣腸

  • ビサコジル坐薬

⑦ オピオイド誘発性便秘治療薬

オピオイド鎮痛薬による便秘に用います。

代表薬

  • ナルデメジン

  • メチルナルトレキソン

特徴

  • 腸管のオピオイド受容体を選択的に阻害し、鎮痛効果を保ちながら便秘を改善します。

主な副作用

分類

主な副作用

浸透圧性下剤

下痢、腹部膨満感

刺激性下剤

腹痛、下痢

分泌促進薬

下痢、悪心、腹痛

浣腸・坐薬

肛門部刺激感

オピオイド誘発性便秘治療薬

腹痛、下痢

便秘治療薬の使い分け

便秘のタイプ

主に用いられる薬

軽度・慢性便秘

浸透圧性下剤

慢性便秘で浸透圧性下剤が不十分

分泌促進薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬

一時的に強い便秘

刺激性下剤(短期間)

直腸に便がたまっている

浣腸・坐薬

オピオイドによる便秘

ナルデメジンなど

生活習慣の改善も重要

薬だけでなく、以下のような生活習慣の見直しも便秘改善に役立ちます。

  • 十分な水分摂取

  • 食物繊維を適度に摂る(便秘の種類によっては摂り過ぎに注意)

  • 適度な運動

  • 朝食後など決まった時間にトイレへ行く習慣をつける

まとめ

便秘治療薬は、便を柔らかくする、腸の運動を促す、腸内への水分分泌を増やすなどの方法で排便を促す薬です。

主な分類は以下のとおりです。

  • 浸透圧性下剤:酸化マグネシウム、ラクツロース、マクロゴール

  • 刺激性下剤:センノシド、ピコスルファート、ビサコジル

  • 上皮機能変容薬(分泌促進薬):ルビプロストン、リナクロチド

  • 胆汁酸トランスポーター阻害薬:エロビキシバット

  • 浣腸・坐薬:グリセリン浣腸、ビサコジル坐薬

  • オピオイド誘発性便秘治療薬:ナルデメジン、メチルナルトレキソン

現在の便秘治療では、便秘の原因やタイプに応じて薬を選択し、生活習慣の改善と組み合わせて治療を行うことが重要です。

最新記事

すべて表示
ポリファーマシーとは?

ポリファーマシー(多剤併用)とは?原因・高齢者でのリスク・処方適正化と正しい知識 ポリファーマシーの概要 ポリファーマシー(Polypharmacy)とは、単に服用する薬剤数が多いために、副作用のリスク増加、服薬エラー、薬物相互作用などの害(有害事象)が生じている、あるいは生じる恐れがある状態のことです。一般に「多剤併用」や「多剤処方」とも呼ばれます。 単に「〇種類以上の薬を飲んでいる」という量的

 
 
 
リフィル処方箋とは?

リフィル処方箋とは?仕組み・利用条件・分割調剤との違い・メリットと注意点を徹底解説 リフィル処方箋の概要 リフィル処方箋(Refill Prescription)とは、症状が安定している慢性疾患の患者に対して、医師の判断のもと、一定期間内に最大3回まで繰り返し(リフィル)使用できる処方箋のことです。 2022年4月の診療報酬改定に伴い、医療費の適正化や患者の通院負担軽減を目的に日本国内で正式に導入

 
 
 
アタラックスPとは?

アタラックスP(ヒドロキシジン)とは?作用・特徴・依存性の少なさと注意点を解説 アタラックスPの概要 アタラックスP(一般名:ヒドロキシジンパモ酸塩)とは、アレルギー症状(かゆみや蕁麻疹など)を抑える抗ヒスタミン作用と、脳の過剰な興奮を鎮める抗不安・催眠作用を併せ持つ「ヒドロキシジン製剤」です。 皮膚科領域におけるアレルギー疾患(蕁麻疹や湿疹・皮膚炎に伴うかゆみ)の治療をはじめ、精神科・心療内科領

 
 
 

コメント


bottom of page