便秘治療薬とは?
便秘治療薬(べんぴちりょうやく)とは、便秘を改善し、正常な排便を促すための薬の総称です。
便秘にはさまざまな原因があり、便を柔らかくする薬、腸の動きを促す薬、腸内の水分量を増やす薬など、作用機序の異なる薬が使い分けられます。
便秘の主な種類
機能性便秘
弛緩性便秘(腸の動きが弱い)
痙攣性便秘(腸が過度に収縮する)
直腸性便秘(便意を感じにくい)
器質性便秘
大腸がんや腸閉塞などによる便秘
薬剤性便秘
オピオイド、抗コリン薬、一部の抗うつ薬などが原因
主な種類
① 浸透圧性下剤
腸内に水分を引き込み、便を柔らかくして排便を促します。
代表薬
酸化マグネシウム
ラクツロース
マクロゴール(ポリエチレングリコール)
ソルビトール
特徴
第一選択となることが多い
比較的習慣性が少ない
副作用
下痢
腹部膨満感
高マグネシウム血症(腎機能低下時に酸化マグネシウムで注意)
② 刺激性下剤
大腸を刺激して腸の動きを活発にします。
代表薬
センノシド
ピコスルファートナトリウム
ビサコジル
特徴
効果が比較的速い
長期連用は避けることが推奨される
副作用
腹痛
下痢
長期使用で効果が弱くなることがある
③ 上皮機能変容薬(分泌促進薬)
腸管内への水分分泌を増やし、便を柔らかくします。
代表薬
ルビプロストン
リナクロチド
エロビキシバット(胆汁酸トランスポーター阻害薬)
適応
慢性便秘症
便秘型過敏性腸症候群(薬剤による)
副作用
下痢
悪心
腹痛
④ 胆汁酸トランスポーター阻害薬
胆汁酸が大腸へ届く量を増やし、腸の運動や水分分泌を促します。
代表薬
エロビキシバット
特徴
慢性便秘症に用いられる
⑤ 消化管運動促進薬
腸の動きを改善して排便を促します。
代表薬
モサプリド(一部の患者で使用)
アコチアミド(主に胃機能改善薬であり、便秘治療の中心ではありません)
⑥ 浣腸・坐薬
直腸内で便を柔らかくしたり、排便反射を促したりします。
代表薬
グリセリン浣腸
ビサコジル坐薬
⑦ オピオイド誘発性便秘治療薬
オピオイド鎮痛薬による便秘に用います。
代表薬
ナルデメジン
メチルナルトレキソン
特徴
腸管のオピオイド受容体を選択的に阻害し、鎮痛効果を保ちながら便秘を改善します。
主な副作用
分類 | 主な副作用 |
浸透圧性下剤 | 下痢、腹部膨満感 |
刺激性下剤 | 腹痛、下痢 |
分泌促進薬 | 下痢、悪心、腹痛 |
浣腸・坐薬 | 肛門部刺激感 |
オピオイド誘発性便秘治療薬 | 腹痛、下痢 |
便秘治療薬の使い分け
便秘のタイプ | 主に用いられる薬 |
軽度・慢性便秘 | 浸透圧性下剤 |
慢性便秘で浸透圧性下剤が不十分 | 分泌促進薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬 |
一時的に強い便秘 | 刺激性下剤(短期間) |
直腸に便がたまっている | 浣腸・坐薬 |
オピオイドによる便秘 | ナルデメジンなど |
生活習慣の改善も重要
薬だけでなく、以下のような生活習慣の見直しも便秘改善に役立ちます。
十分な水分摂取
食物繊維を適度に摂る(便秘の種類によっては摂り過ぎに注意)
適度な運動
朝食後など決まった時間にトイレへ行く習慣をつける
まとめ
便秘治療薬は、便を柔らかくする、腸の運動を促す、腸内への水分分泌を増やすなどの方法で排便を促す薬です。
主な分類は以下のとおりです。
浸透圧性下剤:酸化マグネシウム、ラクツロース、マクロゴール
刺激性下剤:センノシド、ピコスルファート、ビサコジル
上皮機能変容薬(分泌促進薬):ルビプロストン、リナクロチド
胆汁酸トランスポーター阻害薬:エロビキシバット
浣腸・坐薬:グリセリン浣腸、ビサコジル坐薬
オピオイド誘発性便秘治療薬:ナルデメジン、メチルナルトレキソン
現在の便秘治療では、便秘の原因やタイプに応じて薬を選択し、生活習慣の改善と組み合わせて治療を行うことが重要です。
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