医薬品誘発性精神症とは?
医薬品誘発性精神病症(Medication-Induced Psychotic Disorder)とは、薬剤(医薬品)の使用中や使用後、あるいは中止後に、薬剤の作用によって妄想や幻覚などの精神病症状が現れる精神疾患です。医薬品誘発性精神病症
この疾患では、精神病症状が薬剤の影響によって生じていることが特徴です。薬剤による影響がなくなると改善することが多いですが、重症例では治療が必要になります。
主な症状
精神病症状として、次のようなものが現れます。
妄想
「誰かに監視されている」
「毒を盛られている」
「自分は特別な能力を持っている」
幻覚
幻聴(声が聞こえる)
幻視(実際にはないものが見える)
幻触(虫がはっている感じがする など)
思考や行動の変化
話のまとまりがなくなる
混乱する
興奮する
奇異な行動をとる
原因となることがある薬剤
さまざまな薬剤が原因となる可能性があります。頻度は高くありませんが、代表例として次のようなものがあります。
副腎皮質ステロイド
プレドニゾロン
デキサメタゾン
抗パーキンソン病薬
レボドパ
ドパミン作動薬
中枢神経刺激薬
メチルフェニデート(まれ)
アンフェタミン系薬剤
一部の抗てんかん薬
一部の抗うつ薬
一部の睡眠薬・鎮静薬
一部の免疫抑制薬
多くの人はこれらの薬で精神病症状を起こすわけではなく、副作用としてまれに生じるものです。
診断
DSM-5-TRでは、主に以下のような点を確認します。
妄想または幻覚がある。
症状が薬剤の使用開始・増量・中止と時間的に関連している。
他の精神疾患では十分に説明できない。
症状によって生活に支障が生じている。
医師は、服用中の薬剤や症状が現れた時期を詳しく確認し、原因との関連を評価します。
治療
治療は原因薬剤や症状の重症度によって異なります。
原因と考えられる薬剤の減量・中止・変更(自己判断で中止せず、必ず処方医に相談することが重要です)
必要に応じて抗精神病薬
入院治療(重症例)
原因疾患の治療の見直し
他の精神病性障害との違い
疾患 | 主な特徴 |
医薬品誘発性精神病症 | 薬剤の影響で精神病症状が出現する |
統合失調症 | 薬剤とは無関係に発症する慢性の精神疾患 |
短期精神病症 | 原因薬剤がなく、1か月未満で回復する精神病症 |
予後
多くの場合、原因となる薬剤の調整や中止によって症状は改善します。しかし、改善までに時間がかかる場合や、もともと精神疾患の素因があった人では、症状が長引くこともあります。
注意点
精神病症状(妄想や幻覚)が現れた場合は、自己判断で薬を中止せず、できるだけ早く処方医や医療機関に相談することが重要です。急な中止によって、もとの病気が悪化したり、離脱症状が生じたりすることもあるため、医師の指示のもとで治療方針を調整します。
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