気管支拡張薬とは?
気管支拡張薬(きかんしかくちょうやく)とは、気管支(空気の通り道)の筋肉をゆるめて気道を広げ、呼吸をしやすくする薬です。
気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで、気道が狭くなって息苦しさや喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)が起こる際に使用されます。
気管支拡張薬の作用
気管支の壁には「平滑筋」という筋肉があります。
喘息やCOPDでは、この筋肉が収縮したり、炎症によって気道が狭くなったりします。
気管支拡張薬は、この平滑筋をゆるめることで、
気道を広げる
呼吸を楽にする
咳や喘鳴を軽減する
運動時の息切れを改善する
といった効果があります。
主な適応
気管支喘息
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
慢性気管支炎
肺気腫
一部の急性気道閉塞
主な種類
① β₂刺激薬(最もよく使われる)
β₂アドレナリン受容体を刺激して、気管支平滑筋を弛緩させます。
短時間作用型(SABA)
発作時の救急薬(リリーバー)として使用されます。
代表薬
サルブタモール
プロカテロール
フェノテロール
効果持続時間
約4〜6時間
長時間作用型(LABA)
発作予防・維持療法に使用されます。
代表薬
ホルモテロール
サルメテロール
インダカテロール
オロダテロール
効果持続時間
約12〜24時間
② 抗コリン薬
副交感神経の働きを抑えて気管支を拡張します。
短時間作用型(SAMA)
代表薬
イプラトロピウム
長時間作用型(LAMA)
代表薬
チオトロピウム
グリコピロニウム
ウメクリジニウム
アクリジニウム
特徴
COPDで特によく使用されます。
③ キサンチン系
ホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害するなどの作用により気管支を拡張します。
代表薬
テオフィリン
特徴
呼吸中枢刺激作用もあります。
血中濃度が高くなると副作用が出やすいため、血中濃度の管理が必要な場合があります。
④ 配合吸入薬
複数の薬を組み合わせた吸入薬です。
ICS/LABA
(吸入ステロイド+長時間作用型β₂刺激薬)
例
ブデソニド+ホルモテロール
フルチカゾン+サルメテロール
LABA/LAMA
例
インダカテロール+グリコピロニウム
ICS/LABA/LAMA
3種類を1つにした配合薬です。
主な副作用
β₂刺激薬
手の震え
動悸
頻脈
低カリウム血症(大量使用時)
抗コリン薬
口の渇き
便秘
排尿困難
緑内障の悪化(薬剤が眼に入った場合など)
テオフィリン
吐き気
頭痛
不眠
不整脈
けいれん(高濃度時)
気管支拡張薬と吸入ステロイドの違い
気管支拡張薬 | 吸入ステロイド |
気道を広げる | 気道の炎症を抑える |
即効性がある薬もある | 効果発現まで時間がかかる |
息苦しさを改善 | 発作を予防する |
β₂刺激薬・抗コリン薬など | ブデソニド、フルチカゾンなど |
喘息では、吸入ステロイド(ICS)が長期管理の基本治療であり、気管支拡張薬は症状の改善や補助的な維持療法として組み合わせて使われることが一般的です。
使用上の注意
吸入薬は正しい吸入手技で使用しないと十分な効果が得られません。
発作時には短時間作用型β₂刺激薬(SABA)が用いられますが、頻繁に必要になる場合は、長期管理薬の見直しが必要です。
LABAは、喘息では通常、吸入ステロイドと併用して使用されます。
まとめ
気管支拡張薬は、気道を広げて呼吸を楽にする薬です。
主な種類は以下のとおりです。
β₂刺激薬(SABA・LABA):喘息・COPDの中心的な気管支拡張薬
抗コリン薬(SAMA・LAMA):特にCOPDで重要
キサンチン系:テオフィリンなど
配合吸入薬:ICS/LABA、LABA/LAMA、ICS/LABA/LAMA
これらは、喘息やCOPDなどの呼吸器疾患において、症状や重症度に応じて単独または組み合わせて使用されます。
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