肝疾患治療薬とは?
肝疾患治療薬(かんしっかんちりょうやく)とは、肝臓の病気(肝疾患)の原因や進行を改善・抑制するために用いられる薬の総称です。
肝疾患には、ウイルス性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝炎、肝硬変などさまざまな病気があり、原因に応じて治療薬を選択します。
主な適応
B型肝炎
C型肝炎
脂肪肝(MASLD)
アルコール性肝障害
自己免疫性肝炎
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
肝性脳症
肝硬変
主な種類
① B型肝炎治療薬
B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を抑えます。
核酸アナログ製剤
代表薬
エンテカビル
テノホビル
テノホビル アラフェナミド(TAF)
ラミブジン
作用機序HBVのDNA合成を阻害し、ウイルスの増殖を抑制します。
② C型肝炎治療薬
現在は**直接作用型抗ウイルス薬(DAA)**が標準治療です。
代表薬
ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル
グレカプレビル/ピブレンタスビル
作用機序C型肝炎ウイルス(HCV)の複製に必要な酵素を阻害します。
特徴
治癒率は非常に高く、多くの患者でウイルス排除が期待できます。
③ 肝機能改善薬
肝細胞の障害を軽減し、肝機能の改善を目的として用いられます。
代表薬
ウルソデオキシコール酸(UDCA)
適応
胆汁うっ滞性肝疾患
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
一部の肝機能障害
④ 肝性脳症治療薬
肝機能低下によって増加するアンモニアを減らします。
代表薬
ラクツロース
リファキシミン
作用機序
ラクツロース:腸内を酸性化し、アンモニアの吸収を抑える。
リファキシミン:腸内細菌が産生するアンモニアを減らす。
⑤ 自己免疫性肝炎治療薬
免疫反応を抑えて肝臓への炎症を改善します。
代表薬
プレドニゾロン
アザチオプリン
⑥ 原発性胆汁性胆管炎(PBC)治療薬
代表薬
ウルソデオキシコール酸
ベザフィブラート(一部の患者で併用)
⑦ MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)・アルコール性肝障害
現在の基本は生活習慣の改善です。
体重減少
運動療法
食事療法
禁酒(アルコール性肝障害)
患者さんによっては、糖尿病や脂質異常症などの併存疾患の治療薬が肝機能改善にも役立つことがあります。
主な副作用
分類 | 主な副作用 |
核酸アナログ製剤 | 腎機能障害、骨密度低下(薬剤による)、頭痛 |
DAA | 頭痛、倦怠感、悪心 |
ウルソデオキシコール酸 | 下痢、腹部不快感 |
ラクツロース | 下痢、腹部膨満 |
リファキシミン | 悪心、腹痛 |
プレドニゾロン | 感染症、骨粗鬆症、高血糖 |
アザチオプリン | 骨髄抑制、肝障害 |
肝疾患治療薬の分類
分類 | 主な代表薬 | 主な適応 |
B型肝炎治療薬 | エンテカビル、テノホビル | B型肝炎 |
C型肝炎治療薬 | ソホスブビル、グレカプレビル/ピブレンタスビル | C型肝炎 |
肝機能改善薬 | ウルソデオキシコール酸 | 胆汁うっ滞性疾患、PBCなど |
肝性脳症治療薬 | ラクツロース、リファキシミン | 肝性脳症 |
免疫抑制薬 | プレドニゾロン、アザチオプリン | 自己免疫性肝炎 |
近年の進歩
C型肝炎では、DAAの登場により、多くの患者でウイルスを排除(治癒)できるようになりました。
B型肝炎では、ウイルスを完全に排除することは難しいものの、核酸アナログ製剤により増殖を長期間抑え、肝硬変や肝がんへの進行リスクを減らすことができます。
MASLDに対しては新たな治療薬の研究が進んでいますが、現時点では生活習慣の改善が治療の基本です。
まとめ
肝疾患治療薬は、肝臓の病気の原因や病態に応じて使用される薬です。
主な分類は以下のとおりです。
B型肝炎治療薬:エンテカビル、テノホビル
C型肝炎治療薬(DAA):ソホスブビル、グレカプレビル/ピブレンタスビルなど
肝機能改善薬:ウルソデオキシコール酸
肝性脳症治療薬:ラクツロース、リファキシミン
免疫抑制薬:プレドニゾロン、アザチオプリン
肝疾患は原因によって治療法が大きく異なるため、原因を正確に診断し、それに応じた治療薬を選択することが重要です。
コメント