記憶の分類
記憶の分類とは、記憶を保持時間・内容・意識の有無などによって分類したものです。心理学や認知神経科学では、以下の分類を理解することが重要です。
① 保持時間による分類
感覚記憶
↓
短期記憶(ワーキングメモリ)
↓
長期記憶1. 感覚記憶(Sensory Memory)
感覚器官から入った情報をごく短時間保持する記憶です。
保持時間:約0.2~3秒
容量:非常に大きい
例:花火の残像、聞いた音が一瞬残る感覚
種類
アイコニックメモリ(視覚記憶)
エコイックメモリ(聴覚記憶)
2. 短期記憶(Short-term Memory)
情報を数十秒程度保持する記憶です。
保持時間:約15~30秒
容量:約7±2チャンク(近年では約4チャンク程度という研究もあります。)
例
電話番号を一時的に覚える
暗算する
3. ワーキングメモリ(Working Memory)
アラン・バドリーが提唱した概念で、情報を一時的に保持しながら処理する機能です。
例
会話しながらメモを取る
暗算する
文章を読みながら内容を理解する
4. 長期記憶(Long-term Memory)
数時間から生涯にわたって情報を保持する記憶です。
② 長期記憶の分類
長期記憶
├── 陳述記憶(宣言的記憶)
│ ├── エピソード記憶
│ └── 意味記憶
│
└── 非陳述記憶(非宣言的記憶)
├── 手続き記憶
├── プライミング
├── 条件づけ
└── 非連合学習A. 陳述記憶(宣言的記憶)
言葉で説明できる記憶です。
エピソード記憶
自分が体験した出来事の記憶です。
例
昨日の夕食
修学旅行
入学式
意味記憶
知識や事実の記憶です。
例
日本の首都は東京
1年は365日
心臓は血液を送り出す臓器
B. 非陳述記憶(非宣言的記憶)
意識しなくても利用できる記憶です。
手続き記憶
体で覚えた技能の記憶です。
例
自転車に乗る
ピアノを弾く
タイピング
プライミング
以前の経験が、後の反応に無意識に影響する現象です。
例
「医師」という言葉を見た後に「看護師」を思い浮かべやすくなる。
条件づけ
学習によって反応が形成される記憶です。
例
パブロフの犬(レスポンデント条件づけ)
スキナーのオペラント条件づけ
非連合学習
一つの刺激に対する反応が変化する学習です。
例
慣れ(馴化):時計の音が気にならなくなる。
感作:一度驚いた後は小さな音にも敏感になる。
③ 記憶の流れ
感覚記憶
↓
注意
↓
短期記憶
↓(リハーサル)
長期記憶
↑
想起国家試験でよく問われるポイント
記憶の種類 | 内容 | 例 |
感覚記憶 | 一瞬保持 | 残像 |
短期記憶 | 約15~30秒保持 | 電話番号 |
ワーキングメモリ | 保持しながら処理 | 暗算・読解 |
エピソード記憶 | 個人的体験 | 昨日の出来事 |
意味記憶 | 知識・事実 | 歴史・言葉 |
手続き記憶 | 技能・動作 | 自転車・泳ぐ |
プライミング | 無意識の影響 | 関連語を思い出しやすい |
条件づけ | 学習による反応 | パブロフ・スキナー |
試験対策のポイント
エピソード記憶=「いつ・どこで・何をしたか」という体験の記憶
意味記憶=知識や事実
手続き記憶=技能や習慣
ワーキングメモリ=「一時的に保持しながら処理する」機能
短期記憶とワーキングメモリは関連しますが、ワーキングメモリは単なる保持だけでなく、情報処理も含む点が特徴です。
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