全般不安病とは?
全般不安症(Generalized Anxiety Disorder:GAD)とは
全般不安症(GAD)とは、仕事、学校、健康、家族、お金など、さまざまな出来事について過度な心配や不安が長期間続き、自分ではその心配をコントロールすることが難しい不安症群(不安障害)の一つです。
「全般不安病」と呼ばれることもありますが、現在の医学では**「全般不安症」**という名称が一般的です(DSM-5-TR・ICD-11)。
主な特徴
全般不安症では、不安の対象が一つに限られず、日常生活のさまざまなことに広がります。
例えば、
健康のこと
家族のこと
仕事や学校
お金
将来への不安
災害や事故
人間関係
などについて、「悪いことが起こるのではないか」と心配が続きます。
主な症状
心理的症状
過度な心配
不安を止められない
落ち着かない
イライラしやすい
集中しにくい
常に緊張している
将来への悲観的な考え
身体症状
全般不安症では身体症状もよくみられます。
筋肉のこわばり
肩こり
首のこり
頭痛
動悸
息苦しさ
発汗
胃の不快感
吐き気
下痢
疲れやすい
睡眠障害(寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど)
原因
全般不安症は、複数の要因が関与して発症すると考えられています。
生物学的要因
遺伝的要因
セロトニンやGABAなど神経伝達物質の働き
扁桃体など脳の不安に関わる神経回路
心理・環境要因
慢性的なストレス
過去のつらい経験
不安を感じやすい気質
完璧主義
責任感が強い性格
診断
DSM-5-TRでは、次のような点を総合的に評価します。
6か月以上、さまざまな出来事について過度な心配が続いている。
心配を自分でコントロールすることが難しい。
以下の症状のうち3つ以上(子どもでは1つ以上)がみられる。
落ち着きのなさ
疲れやすさ
集中困難
イライラ
筋肉の緊張
睡眠障害
日常生活や仕事、学業に支障がある。
治療
① 認知行動療法(CBT)
全般不安症に対する代表的な心理療法です。
心配のパターンを理解する
非現実的な考え方を見直す
問題解決スキルを身につける
リラクゼーション法を学ぶ
② 薬物療法
症状や重症度に応じて、以下のような薬が用いられます。
第一選択
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
エスシタロプラム
セルトラリン
パロキセチン
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
デュロキセチン
ベンラファキシン
その他
プレガバリン(国によって適応が異なります)
ブスピロン(一部の国で使用)
ベンゾジアゼピン系抗不安薬(短期間・補助的な使用が推奨されます)
※使用できる薬や保険適用は国によって異なるため、日本では医師の判断に基づいて処方されます。
③ セルフケア
十分な睡眠
適度な運動
バランスの良い食事
カフェインやアルコールを控えめにする
腹式呼吸
漸進的筋弛緩法
マインドフルネス
ストレスマネジメント
合併しやすい疾患
全般不安症では、次のような疾患を併存することがあります。
うつ病
パニック症
社交不安症
広場恐怖症
限局性恐怖症
不眠症
予後
適切な治療により、多くの人で症状の改善が期待できます。ただし、全般不安症は慢性的な経過をたどることもあり、再発を防ぐためには、認知行動療法で身につけた対処法や生活習慣の改善を継続することが重要です。
他の不安症との違い
疾患 | 主な不安・恐怖の対象 |
全般不安症 | 健康、仕事、家族、お金など幅広い出来事への慢性的な過度の心配 |
パニック症 | パニック発作やその再発への不安 |
広場恐怖症 | 逃げにくい場所や助けを得にくい状況 |
社交不安症 | 他人から評価される場面 |
限局性恐怖症 | 特定の物や状況(高所、注射、飛行機など) |
「心配」と「全般不安症」の違い
誰でも将来や仕事、家族のことを心配することはあります。しかし全般不安症では、
心配の程度が実際の状況に比べて過度である
心配を自分で止めることが難しい
半年以上続く
日常生活や仕事、人間関係に支障をきたす
という点が特徴です。
日常生活に大きな影響がある場合は、精神科や心療内科で相談し、適切な評価と治療を受けることが勧められます。
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