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抜毛症とは?

7月21日
読了時間: 3分

抜毛症(Trichotillomania/Hair-Pulling Disorder)とは

抜毛症(ばつもうしょう)とは、自分の毛髪や体毛を繰り返し抜いてしまい、その結果として毛が薄くなったり脱毛したりする精神疾患です。

以前は「抜毛病」と呼ばれることもありましたが、現在のDSM-5-TRやICD-11では**「抜毛症」**という名称が一般的です。

抜毛症は、**「強迫症および関連症群(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)」**に分類されています。

主な特徴

抜毛症では、

  • 毛を抜きたいという強い衝動が生じる

  • 抜くのをやめようとしても難しい

  • 抜いた後に一時的な安心感や満足感を感じることがある

という特徴があります。

抜く部位

毛を抜く部位はさまざまです。

  • 頭髪(最も多い)

  • 眉毛

  • まつ毛

  • あごひげ

  • 腕や脚の毛

  • 腋毛

  • 陰毛

  • その他の体毛

複数の部位から抜く人もいます。

主な症状

  • 毛を繰り返し抜く

  • 脱毛が目立つ

  • やめようとしてもやめられない

  • 抜いた毛を触る

  • 毛根を観察する

  • 抜いた毛を口に入れることがある

食毛症(Trichophagia)

一部の人では、抜いた毛を飲み込むことがあります。これを食毛症といいます。

大量に飲み込むと、胃や腸の中で毛の塊(毛球)ができることがあり、腸閉塞などの原因になることがあります。

抜毛が起こりやすい場面

  • テレビを見ているとき

  • 勉強中

  • 読書中

  • スマートフォンを見ているとき

  • ストレスを感じているとき

  • 不安なとき

  • 暇なとき

  • 寝る前

無意識に抜いている場合もあれば、意識して抜く場合もあります。

原因

抜毛症は、複数の要因が関係して発症すると考えられています。

生物学的要因

  • 遺伝的要因

  • セロトニンやドパミンなど神経伝達物質の関与

  • 前頭前野や線条体など脳の神経回路の機能異常

心理・環境要因

  • ストレス

  • 不安

  • 緊張

  • 退屈

  • 感情調整の困難

診断

DSM-5-TRでは、主に以下の点を評価します。

  • 繰り返し毛を抜き、脱毛がみられる。

  • 毛を抜く行動を減らそう、またはやめようと繰り返し試みている。

  • 症状により著しい苦痛や社会生活・仕事・学業への支障がある。

  • 他の身体疾患(皮膚疾患など)や精神疾患だけでは十分に説明できない。

治療

① 認知行動療法(CBT)

最も有効性が示されている心理療法の一つです。

特に**習慣逆転法(Habit Reversal Training:HRT)**がよく用いられます。

内容には、

  • 毛を抜くきっかけを把握する

  • 抜きそうになったら別の行動を行う

  • 環境を工夫する

  • 再発予防

などがあります。

② 薬物療法

抜毛症に対する薬物療法は、認知行動療法ほど確立していませんが、症状や併存疾患に応じて検討されることがあります。

  • SSRI(効果には個人差があります)

  • N-アセチルシステイン(NAC)(一部の研究で有効性が示唆されていますが、日本では抜毛症に対する標準治療ではありません)

  • その他、難治例では専門医が薬剤を検討することがあります。

③ 家族支援

家族は、

  • 無理にやめさせようとしない

  • 責めない

  • 治療を支える

ことが大切です。

合併しやすい疾患

抜毛症では、以下の疾患を併存することがあります。

  • 強迫症

  • 不安症

  • うつ病

  • 注意欠如・多動症(ADHD)

  • チック症

  • 皮膚むしり症

予後

小児期から始まることが多く、軽快する人もいますが、思春期以降に慢性化することもあります。早期に認知行動療法などの適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

他の疾患との違い

疾患

主な特徴

抜毛症

毛を繰り返し抜いてしまう

皮膚むしり症

皮膚を繰り返しむしる

強迫症

強迫観念と強迫行為が中心

ためこみ症

物を捨てられずため込む

「抜毛症」と「くせ」の違い

髪の毛を触る癖や、時々毛を抜いてしまうこと自体は珍しくありません。しかし抜毛症では、

  • 抜くことをやめようとしてもやめられない

  • 脱毛が目立つほど抜いてしまう

  • 強い苦痛や生活への支障がある

という点が特徴です。

そのため、単なる癖ではなく、治療や支援の対象となる精神疾患と考えられています。

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