注意欠如多動病とは?
注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)とは、年齢や発達段階に比べて不注意、多動性、衝動性が持続し、学校・仕事・家庭・対人関係などで支障をきたす神経発達症です。注意欠如・多動症
以前は「注意欠如多動性障害(ADHD)」という名称が一般的でしたが、現在の日本では診断名として「注意欠如・多動症」が用いられています。
主な症状
ADHDの症状は、大きく3つに分けられます。
1. 不注意
集中力を維持することが難しい状態です。
例
ケアレスミスが多い
話を聞いていないように見える
忘れ物やなくし物が多い
宿題や仕事を最後まで終えられない
約束や予定を忘れやすい
整理整頓が苦手
2. 多動性
必要以上に体を動かしてしまう状態です。
例
じっと座っていられない
手足をそわそわ動かす
落ち着きなく歩き回る
必要以上によくしゃべる
成人では、目立つ体の多動よりも「落ち着かない感じ」として現れることがあります。
3. 衝動性
考える前に行動してしまう傾向です。
例
相手の話を最後まで待てない
順番を待つことが苦手
思いついたことをすぐ口にする
衝動買いをしてしまう
危険を十分考えずに行動する
ADHDのタイプ
DSM-5-TRでは、症状の現れ方に応じて以下の3つのタイプ(現在は「提示型」と呼ばれます)があります。
タイプ | 特徴 |
不注意優勢型 | 不注意が主な特徴 |
多動・衝動優勢型 | 多動性・衝動性が主な特徴 |
混合型 | 不注意と多動・衝動性の両方が目立つ |
原因
ADHDは育て方や本人の努力不足が原因ではありません。
現在では、次のような要因が関与すると考えられています。
遺伝的要因
脳の発達や神経伝達物質(特にドパミンやノルアドレナリン)の働きの違い
妊娠・周産期の一部の環境要因
診断
診断では、以下のような点を総合的に評価します。
幼少期から症状がみられること
複数の場面(学校・家庭・職場など)で症状がみられること
日常生活や学業・仕事に支障があること
他の疾患では十分説明できないこと
診断には問診や行動評価、必要に応じて心理検査などが用いられます。
治療・支援
ADHDの治療は、薬物療法だけでなく環境調整や心理社会的支援を組み合わせることが重要です。
薬物療法
日本では、代表的に以下のような薬が用いられます。
メチルフェニデート
アトモキセチン
グアンファシン
非薬物療法
心理教育
行動療法
学校・職場での環境調整
保護者支援
認知行動療法(成人などで有効な場合があります)
合併しやすい疾患
ADHDでは、次のような疾患を併存することがあります。
自閉スペクトラム症
限局性学習症
知的発達症
不安症
うつ病
反抗挑戦症
予後
ADHDは生涯にわたる神経発達症ですが、症状の現れ方は年齢とともに変化します。子どもの頃に目立った多動性は成人で軽くなることが多い一方、不注意や衝動性が続く人もいます。
適切な治療や環境調整、支援を受けることで、学業・仕事・対人関係の困難を軽減し、多くの人が自分の能力を発揮しながら生活しています。
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