脳の構造と機能とは?
脳の構造と機能
脳は、人間の神経系の中枢であり、思考・感情・記憶・運動・感覚・意識・生命維持など、あらゆる機能を担っています。
成人の脳は約1.2~1.5kgで、約**860億個のニューロン(神経細胞)**が複雑なネットワークを形成しています。
脳の大きな構造
脳は大きく次のように分類されます。
大脳(Cerebrum)
間脳(Diencephalon)
小脳(Cerebellum)
脳幹(Brainstem)
1. 大脳(Cerebrum)
大脳は最も大きな部分で、左右の半球からなります。
主な役割は
思考
判断
学習
記憶
感情
言語
随意運動
感覚の処理
です。
大脳皮質
大脳の表面を覆う灰白質です。
高次脳機能を担います。
前頭葉
役割
判断
計画
注意
実行機能
人格
感情の調整
運動
代表的な領域
一次運動野
運動前野
補足運動野
前頭前野
ブローカ野
障害すると
遂行機能障害
意欲低下
衝動性
人格変化
運動麻痺
失語
頭頂葉
役割
触覚
温度覚
痛覚
空間認知
身体認識
代表
一次体性感覚野
障害すると
半側空間無視
失認
感覚障害
側頭葉
役割
聴覚
記憶
感情
言語理解
代表
ウェルニッケ野
海馬
扁桃体
障害すると
記憶障害
感覚性失語
聴覚障害
後頭葉
役割
視覚
代表
一次視覚野
障害すると
視野障害
視覚失認
2. 間脳(Diencephalon)
視床
役割
感覚情報の中継
運動情報の中継
注意
覚醒
※嗅覚は視床を介さずに大脳へ伝わる点が特徴です。
視床下部
役割
自律神経
体温
食欲
睡眠
水分調節
ホルモン調節
下垂体を介して
成長ホルモン
ACTH
TSH
LH
FSH
などを調節します。
3. 大脳辺縁系(Limbic System)
感情や記憶を司る重要なネットワークです。
海馬
役割
新しい記憶
学習
空間認知
障害
前向性健忘
アルツハイマー病では早期から障害されやすい部位です。
扁桃体
役割
恐怖
不安
怒り
危険察知
情動記憶
PTSDや不安症との関連が知られています。
帯状回
役割
注意
共感
痛みの情動面
意欲
4. 大脳基底核
役割
運動調節
習慣形成
報酬学習
主な構造
尾状核
被殻
淡蒼球
黒質
視床下核
関連疾患
パーキンソン病
ハンチントン病
5. 小脳
役割
バランス
協調運動
姿勢
運動学習
近年では
注意
言語
感情
への関与も示されています。
6. 脳幹
生命維持に不可欠な部位です。
構成
中脳
橋
延髄
役割
呼吸
血圧
心拍
嚥下
覚醒
睡眠
網様体
脳幹内にある神経ネットワークです。
役割
意識
覚醒
注意
障害すると昏睡に至ることがあります。
左右の脳の特徴
左半球
比較的得意とされる機能
言語
計算
論理
分析
右半球
比較的得意とされる機能
空間認知
音楽
顔認識
直感
※ただし、左右の役割分担には個人差があり、多くの機能は両半球が協力して担っています。
脳内の主要な神経伝達物質
神経伝達物質 | 主な働き |
ドパミン | 報酬、意欲、運動、学習 |
セロトニン | 気分、睡眠、食欲、不安 |
ノルアドレナリン | 覚醒、集中、ストレス応答 |
GABA | 脳内の主要な抑制性神経伝達 |
グルタミン酸 | 脳内の主要な興奮性神経伝達 |
アセチルコリン | 記憶、学習、注意、筋収縮 |
精神医学との関係
脳の構造や機能の異常は、多くの精神疾患・神経疾患と関連しています。
うつ病:前頭前野や辺縁系の機能異常、セロトニン・ノルアドレナリンなどの神経伝達異常
統合失調症:ドパミン系の異常に加え、前頭前野や側頭葉の機能異常
双極症:感情調節ネットワークや神経伝達物質の変化
アルツハイマー病:海馬や側頭葉内側の萎縮
パーキンソン病:黒質のドパミン神経細胞の減少
てんかん:異常な神経活動が特定の脳領域または広範囲で発生
近年は、これらを単一の脳領域の異常ではなく、複数の脳領域が連携する「脳ネットワーク」の機能変化として理解する研究が進んでいます。脳は経験や学習によって変化する**神経可塑性(ニューロプラスティシティ)**を持つため、薬物療法、心理療法、リハビリテーションなどもこの可塑性を活用して機能回復を目指しています。
コメント