自律神経系の恒常性とは?
自律神経系の恒常性(ホメオスタシス)
自律神経系の恒常性(ホメオスタシス)とは、体内環境を一定に保つために、自律神経系・内分泌系・免疫系などが協調して働き、生命維持に必要な状態を維持する仕組みのことです。
「恒常性(Homeostasis)」という概念は、生理学者 ウォルター・キャノン によって広く提唱されました。
恒常性とは
私たちの体は、外部環境が変化しても、体内環境をできるだけ一定に保とうとします。
例えば、
血圧
体温
血糖値
心拍数
呼吸
血液のpH
水分・電解質
酸素・二酸化炭素濃度
などは厳密に調節されています。
自律神経系とは
自律神経は、自分の意思とは関係なく24時間働き続けています。
2つの神経系があります。
① 交感神経
活動・緊張・ストレス時に優位になります。
主な作用
心拍数を増やす
血圧を上げる
瞳孔を開く
気管支を広げる
発汗を促す
消化を抑える
血糖値を上げる
「闘争・逃走反応(Fight or Flight)」を支える働きです。
② 副交感神経
休息・回復時に優位になります。
主な作用
心拍数を下げる
血圧を下げる
消化を促進する
唾液分泌を増やす
腸の運動を促す
排尿・排便を促す
「休息・消化(Rest and Digest)」を支える働きです。
視床下部の役割
自律神経系の司令塔は視床下部です。
視床下部は、
自律神経
内分泌(ホルモン)
体温調節
睡眠・覚醒
食欲・飲水
ストレス反応
などを統合的に調節します。
また、下垂体を介してホルモン分泌も制御しています。
恒常性を保つ仕組み(負のフィードバック)
恒常性の多くは負のフィードバックで維持されます。
例:体温調節
体温が上昇
視床下部が感知
発汗・皮膚血管拡張
熱が放散
体温が正常に戻る
逆に体温が下がれば、
血管収縮
ふるえ(シバリング)
熱産生の増加
が起こります。
血圧調節(圧受容体反射)
血圧も自律神経によって瞬時に調節されます。
例:
血圧が低下すると
頸動脈洞・大動脈弓の圧受容体が変化を感知
延髄の循環中枢へ情報が伝わる
交感神経が活性化
心拍数増加
心収縮力増加
血管収縮
結果として血圧が回復します。
反対に血圧が高くなると、副交感神経の働きが強まり、心拍数が低下して血圧が下がります。
ストレス時の反応
ストレスがかかると
自律神経
交感神経が優位になります。
さらに、
HPA軸(視床下部-下垂体-副腎皮質系)
視床下部からCRH
下垂体からACTH
副腎皮質からコルチゾール
が分泌されます。
コルチゾールは
血糖値上昇
炎症抑制
エネルギー供給
などを促します。
恒常性が乱れると
自律神経のバランスが崩れると、
動悸
めまい
発汗異常
不眠
消化不良
頭痛
倦怠感
血圧変動
集中力低下
などの症状がみられることがあります。
また、自律神経失調症、起立性調節障害、一部の神経疾患や内分泌疾患などが関与することもあります。
恒常性を保つために重要なこと
生活習慣を整えることは、自律神経の働きを安定させる助けになります。
十分な睡眠
規則正しい生活
適度な運動
バランスの良い食事
ストレスマネジメント
深い呼吸やリラクゼーション
アルコールやカフェインの過剰摂取を避ける
精神医学との関係
自律神経系は、不安症、パニック症、うつ病、PTSD、慢性ストレスなどとも深く関係しています。これらの状態では交感神経が過剰に働いたり、副交感神経による回復が十分に機能しなかったりすることがあります。
そのため、精神医療では薬物療法だけでなく、認知行動療法(CBT)、呼吸法、マインドフルネス、適度な運動などを組み合わせ、自律神経系のバランスやストレスへの対処能力を改善することが重要な支援の一つとされています。
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