身体醜形病とは?
身体醜形症(Body Dysmorphic Disorder:BDD)とは
身体醜形症(BDD)とは、実際にはほとんど目立たない、あるいは他人には分からない程度の身体の見た目の欠点を深刻に気にし、そのことが強い苦痛や日常生活への支障を引き起こす精神疾患です。
以前は「身体醜形障害」と呼ばれていましたが、DSM-5-TRやICD-11では**「身体醜形症」**という名称が一般的です。
身体醜形症は、DSM-5-TRでは**「強迫症および関連症群(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)」**に分類されています。
主な特徴
身体醜形症の人は、
「鼻が異常に大きい」
「肌がひどく汚い」
「顔が左右非対称だ」
「髪が薄すぎる」
「体型がおかしい」
などと強く思い込みます。
しかし、その欠点は
他人には分からない
ごく軽微である
実際には存在しない
ことが多く、本人の認識との間に大きな差があります。
主な症状
見た目への強いこだわり
顔
鼻
肌
髪
歯
目
耳
体型
筋肉量
胸
性器
など、体のどの部位でも対象になることがあります。
繰り返し行う行動(反復行動)
気になる部分に対して、次のような行動を繰り返します。
鏡を何度も見る
鏡を完全に避ける
人と比較する
化粧で隠す
髪型で隠す
写真を何度も撮る
家族に確認する
皮膚を触る・いじる
美容整形を繰り返し希望する
日常生活への影響
外出できない
学校へ行けない
仕事を休む
人に会えない
恋愛ができない
引きこもる
重症になると社会生活が大きく制限されることがあります。
筋肉醜形症(Muscle Dysmorphia)
身体醜形症の一つのタイプとして筋肉醜形症があります。
本人は十分に筋肉があるにもかかわらず、
「もっと筋肉が必要だ」
「自分は細すぎる」
と感じ、
過度な筋力トレーニング
極端な食事制限
アナボリックステロイドなどの乱用
につながることがあります。
原因
身体醜形症は、複数の要因が関与すると考えられています。
生物学的要因
遺伝的要因
セロトニンなど神経伝達物質の関与
脳の視覚情報処理や強迫症に関連する神経回路の機能異常
心理・環境要因
いじめ
外見についてからかわれた経験
SNSやメディアによる美容・体型への強い影響
完璧主義
自己評価の低さ
診断
DSM-5-TRでは、主に以下の点を評価します。
他人には分からない、またはごく軽微な外見上の欠点に強くとらわれている。
鏡を見る、確認するなどの反復行動や心の中での比較を繰り返している。
そのために強い苦痛や日常生活への支障がある。
摂食症など他の疾患だけでは十分に説明できない。
治療
① 認知行動療法(CBT)
第一選択となる心理療法です。
内容には、
外見に対する考え方を見直す
外見確認行動を減らす
曝露反応妨害法(ERP)
などが含まれます。
② 薬物療法
主に以下の薬が使用されます。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
フルボキサミン
セルトラリン
パロキセチン
エスシタロプラム(国や地域によって適応が異なる場合があります)
難治例では、他の薬剤が追加されることもあります。
③ 心理教育・家族支援
病気への理解を深める
家族が安心を求める確認行動に過度に付き合いすぎないよう支援する
再発予防のための対処法を学ぶ
予後
適切な治療により症状が改善する人は少なくありません。しかし、未治療の場合は慢性的な経過をたどることもあり、うつ病や社交不安症などを併発することがあります。早期の治療開始が望まれます。
他の疾患との違い
疾患 | 主な特徴 |
身体醜形症 | 外見上の欠点への過度なとらわれ |
強迫症 | 強迫観念と強迫行為が中心 |
神経性やせ症(拒食症) | 体重や体型へのゆがんだ認識と体重増加への強い恐怖 |
社交不安症 | 他人から評価されることへの恐怖 |
「美容への関心」と「身体醜形症」の違い
美容や身だしなみに関心を持つこと自体は一般的です。しかし身体醜形症では、
外見のことを考える時間が長い(1日何時間も考えることがある)
苦痛が強い
外出や仕事、人間関係に支障が出る
繰り返し確認や隠す行動をしてしまう
という点が特徴です。
そのため、単なる「容姿への悩み」や「美容への関心」とは異なり、治療の対象となる精神疾患と考えられています。
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