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ためこみ病とは?

7月21日
読了時間: 4分

ためこみ症(Hoarding Disorder)とは

ためこみ症(Hoarding Disorder)とは、実際の価値に関係なく物を捨てることが非常に難しく、多量の物をため込んでしまうことで、生活空間や日常生活に大きな支障が生じる精神疾患です。

以前は強迫症(OCD)の一症状と考えられていましたが、現在のDSM-5-TRやICD-11では、**「強迫症および関連症群(Obsessive-Compulsive and Related Disorders)」**の中の独立した疾患として分類されています。

主な特徴

ためこみ症の人は、

  • 「いつか必要になるかもしれない」

  • 「思い出があるから捨てられない」

  • 「もったいない」

  • 「重要な物を間違って捨ててしまうかもしれない」

と感じ、物を処分することが非常に難しくなります。

その結果、物が増え続け、部屋や家の本来の用途で使えなくなることがあります。

主な症状

① 物を捨てられない

対象となる物はさまざまです。

  • 新聞

  • 雑誌

  • 本

  • チラシ

  • 段ボール

  • 衣類

  • 食器

  • 容器

  • 家電

  • レシート

  • 手紙

  • ペット用品

  • インターネットで購入した物 など

② 物を集め続ける

  • 必要以上に買う

  • 無料配布の物を大量にもらう

  • 拾ってくる

  • 「いつか使う」と保管する

③ 生活空間が使えない

例えば、

  • ベッドで寝られない

  • 台所で料理できない

  • テーブルで食事できない

  • 廊下が通れない

  • ドアが開かない

など、生活に支障が生じます。

動物ためこみ(Animal Hoarding)

一部の人では、犬や猫などを適切に世話できる数を超えて飼育し続ける「動物ためこみ」がみられることがあります。

これは、ためこみ症と関連してみられることがありますが、診断や対応には個別の評価が必要です。

原因

ためこみ症は、複数の要因が関係して発症すると考えられています。

生物学的要因

  • 遺伝的要因

  • 意思決定や実行機能に関わる脳の神経回路の異常

心理・環境要因

  • 物への強い愛着

  • 完璧主義

  • 「捨てたら後悔する」という考え

  • 大きな喪失体験やストレス

  • 幼少期からの生活習慣

診断

DSM-5-TRでは、主に以下の点を評価します。

  • 実際の価値にかかわらず、物を捨てることが持続的に困難である。

  • 捨てることに強い苦痛を感じる。

  • 物が大量に蓄積し、生活空間の本来の用途が著しく損なわれている。

  • 症状により社会生活や仕事、家庭生活に支障がある。

  • 他の精神疾患や身体疾患だけでは十分に説明できない。

治療

① 認知行動療法(CBT)

ためこみ症に対する代表的な心理療法です。

内容には、

  • 物への考え方を見直す

  • 整理・処分の練習

  • 意思決定能力を高める訓練

  • 再発予防

などが含まれます。

② 薬物療法

薬物療法だけで十分な効果が得られるとは限りませんが、うつ病や強迫症などを併存している場合には、**SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**などが用いられることがあります。

③ 家族支援

家族が無理に物を捨てると、本人との関係が悪化したり、強い苦痛を招いたりすることがあります。

そのため、

  • 本人の同意を得ながら進める

  • 医療・福祉職と連携する

  • 小さな目標から始める

ことが重要です。

合併しやすい疾患

ためこみ症では、次のような疾患を併存することがあります。

  • 強迫症

  • うつ病

  • 不安症

  • 注意欠如・多動症(ADHD)

  • 認知症(高齢者では鑑別が重要)

予後

ためこみ症は慢性的な経過をたどることが少なくありません。しかし、認知行動療法を中心とした治療や支援により、物を整理する能力や生活機能の改善が期待できます。重症例では、医療・福祉・家族が連携した長期的な支援が重要です。

他の疾患との違い

疾患

主な特徴

ためこみ症

物を捨てることが極めて困難で、生活空間が物で埋まる

強迫症

強迫観念と強迫行為が中心

身体醜形症

外見上の欠点への過度なとらわれ

うつ病

意欲低下や抑うつ気分が中心(片付けられないことはあるが、ためこみとは原因が異なる)

「ためこみ症」と「片付けが苦手」の違い

片付けが苦手な人でも、必要があれば物を処分できることが多いです。一方、ためこみ症では、

  • 物を捨てることに強い苦痛を感じる

  • 実際の価値とは関係なく保存しようとする

  • 生活空間が物であふれる

  • 日常生活や人間関係に大きな支障が出る

という点が特徴であり、治療や支援の対象となる精神疾患と考えられています。

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