パニック病とは?
パニック症(パニック病、Panic Disorder)とは
パニック症(Panic Disorder)は、予期しないパニック発作を繰り返し経験し、「また発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)や、それに伴う行動の変化が続く不安症群(不安障害)の一つです。
「パニック病」という表現が使われることもありますが、現在の医学では**「パニック症」**という名称が一般的です(DSM-5-TR・ICD-11)。
パニック発作とは?
パニック発作とは、突然始まり、数分以内に症状がピークに達する強い恐怖や不快感の発作です。
発作は危険な状況だけでなく、何の前触れもなく起こることがあります。
主な症状
発作中には次のような症状が現れることがあります。
身体症状
動悸・心拍数の増加
発汗
手足や全身の震え
息苦しさ、過呼吸
窒息感
胸の痛みや圧迫感
吐き気や腹部の不快感
めまい、ふらつき
寒気や熱感
手足のしびれやチクチク感
精神症状
「このまま死ぬのではないか」という恐怖
「気が狂ってしまうのではないか」という不安
現実感がなくなる感じ(現実感消失)
自分が自分でないように感じる(離人感)
強い逃避欲求
パニック症の特徴
パニック発作が一度起こるだけでは、通常はパニック症とは診断されません。
診断には、発作に加えて少なくとも1か月以上、以下のいずれかが続くことが重要です。
発作が再び起こることへの強い心配(予期不安)
発作を避けるために生活を変える(運動を避ける、外出を控えるなど)
原因
パニック症は複数の要因が関与すると考えられています。
生物学的要因
遺伝的要因
扁桃体など脳の恐怖反応に関わる部位の働き
セロトニンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の変化
心理・環境要因
強いストレス
過労や睡眠不足
人生の大きな出来事
不安を感じやすい性格
誘因
発作が起こりやすい場面には次のようなものがあります。
電車やバス
高速道路での運転
エレベーター
人混み
会議中
運動中
睡眠中(夜間パニック発作)
広場恐怖症との関係
パニック症の人の中には、広場恐怖症を併発することがあります。
例えば、
電車に乗れない
スーパーに行けない
映画館に入れない
一人で外出できない
など、「逃げられない場所」や「助けを得られない場所」を避けるようになることがあります。
診断
精神科医や心療内科医が、DSM-5-TRやICD-11などの診断基準を参考に、症状や生活への影響を総合的に評価して診断します。
また、胸痛や動悸などは心臓や呼吸器の病気でも起こるため、必要に応じて心電図や血液検査などで身体疾患を除外します。
治療
① 認知行動療法(CBT)
パニック症に対する代表的な心理療法です。
パニック症について正しく理解する
発作への考え方を見直す
呼吸法を身につける
徐々に苦手な状況に慣れる(曝露療法)
② 薬物療法
第一選択
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
セルトラリン
パロキセチン
エスシタロプラム
フルボキサミン
その他
SNRI(例:ベンラファキシン)
ベンゾジアゼピン系抗不安薬(短期間・補助的に使用されることがあります)
薬は医師の指示に従って使用し、自己判断で中止しないことが大切です。
③ セルフケア
十分な睡眠
適度な運動
規則正しい生活
カフェインやアルコールを控えめにする
ストレスマネジメント
腹式呼吸やリラクゼーション法を取り入れる
予後
適切な治療により、多くの人で症状の改善が期待できます。認知行動療法と薬物療法は有効性が確認されており、必要に応じて組み合わせて行われます。早期に治療を開始することで、広場恐怖症などの併発や生活への影響を軽減しやすくなります。
他の不安症との違い
疾患 | 主な不安・恐怖の対象 |
パニック症 | パニック発作そのものや、その再発への不安 |
広場恐怖症 | 逃げにくい場所や助けを得にくい状況 |
社交不安症 | 他人から評価される場面 |
限局性恐怖症 | 特定の物や状況(高所、注射、飛行機など) |
全般不安症 | 健康、仕事、家族など幅広い事柄への慢性的な過度の心配 |
パニック発作との違い
「パニック発作」は症状(突然の強い不安や身体症状)を指す言葉で、パニック症以外にも社交不安症やPTSDなどでみられることがあります。一方、「パニック症」は予期しないパニック発作を繰り返し、再発への不安や行動の変化が持続する診断名です。
日常生活に支障が出るほどの発作や予期不安がある場合は、精神科や心療内科を受診し、適切な評価と治療を受けることが勧められます。
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