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パニック病とは?

7月21日
読了時間: 4分

パニック症(パニック病、Panic Disorder)とは

パニック症(Panic Disorder)は、予期しないパニック発作を繰り返し経験し、「また発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)や、それに伴う行動の変化が続く不安症群(不安障害)の一つです。

「パニック病」という表現が使われることもありますが、現在の医学では**「パニック症」**という名称が一般的です(DSM-5-TR・ICD-11)。

パニック発作とは?

パニック発作とは、突然始まり、数分以内に症状がピークに達する強い恐怖や不快感の発作です。

発作は危険な状況だけでなく、何の前触れもなく起こることがあります。

主な症状

発作中には次のような症状が現れることがあります。

身体症状

  • 動悸・心拍数の増加

  • 発汗

  • 手足や全身の震え

  • 息苦しさ、過呼吸

  • 窒息感

  • 胸の痛みや圧迫感

  • 吐き気や腹部の不快感

  • めまい、ふらつき

  • 寒気や熱感

  • 手足のしびれやチクチク感

精神症状

  • 「このまま死ぬのではないか」という恐怖

  • 「気が狂ってしまうのではないか」という不安

  • 現実感がなくなる感じ(現実感消失)

  • 自分が自分でないように感じる(離人感)

  • 強い逃避欲求

パニック症の特徴

パニック発作が一度起こるだけでは、通常はパニック症とは診断されません。

診断には、発作に加えて少なくとも1か月以上、以下のいずれかが続くことが重要です。

  • 発作が再び起こることへの強い心配(予期不安)

  • 発作を避けるために生活を変える(運動を避ける、外出を控えるなど)

原因

パニック症は複数の要因が関与すると考えられています。

生物学的要因

  • 遺伝的要因

  • 扁桃体など脳の恐怖反応に関わる部位の働き

  • セロトニンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の変化

心理・環境要因

  • 強いストレス

  • 過労や睡眠不足

  • 人生の大きな出来事

  • 不安を感じやすい性格

誘因

発作が起こりやすい場面には次のようなものがあります。

  • 電車やバス

  • 高速道路での運転

  • エレベーター

  • 人混み

  • 会議中

  • 運動中

  • 睡眠中(夜間パニック発作)

広場恐怖症との関係

パニック症の人の中には、広場恐怖症を併発することがあります。

例えば、

  • 電車に乗れない

  • スーパーに行けない

  • 映画館に入れない

  • 一人で外出できない

など、「逃げられない場所」や「助けを得られない場所」を避けるようになることがあります。

診断

精神科医や心療内科医が、DSM-5-TRやICD-11などの診断基準を参考に、症状や生活への影響を総合的に評価して診断します。

また、胸痛や動悸などは心臓や呼吸器の病気でも起こるため、必要に応じて心電図や血液検査などで身体疾患を除外します。

治療

① 認知行動療法(CBT)

パニック症に対する代表的な心理療法です。

  • パニック症について正しく理解する

  • 発作への考え方を見直す

  • 呼吸法を身につける

  • 徐々に苦手な状況に慣れる(曝露療法)

② 薬物療法

第一選択

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

    • セルトラリン

    • パロキセチン

    • エスシタロプラム

    • フルボキサミン

その他

  • SNRI(例:ベンラファキシン)

  • ベンゾジアゼピン系抗不安薬(短期間・補助的に使用されることがあります)

薬は医師の指示に従って使用し、自己判断で中止しないことが大切です。

③ セルフケア

  • 十分な睡眠

  • 適度な運動

  • 規則正しい生活

  • カフェインやアルコールを控えめにする

  • ストレスマネジメント

  • 腹式呼吸やリラクゼーション法を取り入れる

予後

適切な治療により、多くの人で症状の改善が期待できます。認知行動療法と薬物療法は有効性が確認されており、必要に応じて組み合わせて行われます。早期に治療を開始することで、広場恐怖症などの併発や生活への影響を軽減しやすくなります。

他の不安症との違い

疾患

主な不安・恐怖の対象

パニック症

パニック発作そのものや、その再発への不安

広場恐怖症

逃げにくい場所や助けを得にくい状況

社交不安症

他人から評価される場面

限局性恐怖症

特定の物や状況(高所、注射、飛行機など)

全般不安症

健康、仕事、家族など幅広い事柄への慢性的な過度の心配

パニック発作との違い

「パニック発作」は症状(突然の強い不安や身体症状)を指す言葉で、パニック症以外にも社交不安症やPTSDなどでみられることがあります。一方、「パニック症」は予期しないパニック発作を繰り返し、再発への不安や行動の変化が持続する診断名です。

日常生活に支障が出るほどの発作や予期不安がある場合は、精神科や心療内科を受診し、適切な評価と治療を受けることが勧められます。

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