適応反応病とは?
適応反応病(Adjustment Disorder)とは
適応反応病(Adjustment Disorder)とは、進学・就職・転職・離婚・病気・家族関係の変化などの明確なストレス要因に対して、予想以上に強い精神的・行動的な反応が現れ、日常生活や社会生活に支障をきたす精神疾患です。
以前は「適応障害(Adjustment Disorder)」と呼ばれていましたが、ICD-11では「適応反応病」という名称が用いられています。
原因
原因となるストレスは、人によってさまざまです。
入学・進学
就職・転職
職場の人間関係
学校でのいじめ
結婚・離婚
家族の介護
失業
引っ越し
病気やけが
経済的な問題
大切な人との別れ
ストレスの程度だけでなく、その人の性格や過去の経験、支援環境なども発症に影響します。
主な症状
精神症状
気分の落ち込み
強い不安
心配が止まらない
イライラ
涙もろくなる
絶望感
行動の変化
学校や仕事を休む
人付き合いを避ける
衝動的な行動
飲酒量が増える
怒りっぽくなる
身体症状
不眠
食欲低下
疲れやすい
頭痛
胃腸症状
動悸
ICD-11で特徴とされる症状
ICD-11では、特に以下の2つが中心的な特徴です。
① ストレスへのとらわれ(Preoccupation)
出来事について繰り返し考えてしまう
頭から離れない
将来への不安が強い
② 適応の障害(Failure to Adapt)
仕事や学校へ行けない
家事ができない
人間関係がうまくいかない
社会生活に支障が出る
診断のポイント
一般的には次のような条件が満たされます。
明確なストレス要因がある
ストレス開始後おおむね1か月以内に症状が始まる(ICD-11)
社会生活や仕事・学校生活に支障がある
他の精神疾患だけでは十分説明できない
ストレス要因がなくなった後は、通常6か月以内に改善することが多い(ただし、ストレスが続く場合は症状も続くことがあります)
治療
1. 心理社会的支援
最も重要なのは、ストレスの原因への対処です。
問題解決支援
環境調整
家族や職場との連携
休養
2. 心理療法
認知行動療法(CBT)
支持的精神療法
ストレスマネジメント
問題解決療法
マインドフルネス
3. 薬物療法
症状が強い場合には補助的に行われます。
抗不安薬(短期間)
睡眠薬
抗うつ薬(抑うつや不安が強い場合)
ただし、薬だけで治すというよりも、ストレスへの対処や環境調整が治療の中心です。
急性ストレス病との違い
項目 | 適応反応病 | 急性ストレス病 |
原因 | 日常生活上のストレス | 命の危険を伴うような強いトラウマ |
発症 | ストレス後おおむね1か月以内 | トラウマ後3日~1か月以内 |
主症状 | 抑うつ・不安・適応困難 | フラッシュバック、悪夢、解離など |
解離症状 | 通常みられない | よくみられる |
PTSDへの移行 | 通常はない | 移行することがある |
うつ病との違い
適応反応病とうつ病は似ていますが、次のような違いがあります。
項目 | 適応反応病 | うつ病 |
原因 | 明確なストレス要因がある | 必ずしも明確な原因はない |
改善 | ストレスが軽減すると改善しやすい | ストレスがなくなっても続くことがある |
治療 | 環境調整・心理療法が中心 | 薬物療法と心理療法を組み合わせることが多い |
予後
適応反応病は、ストレス要因への対処と適切な支援によって改善が期待できる疾患です。
多くの人は数か月以内に回復します。
ストレスが長期間続く場合は、症状も長引くことがあります。
放置すると、うつ病や不安症、アルコールなどの物質使用の問題につながる場合もあるため、早めの相談が望まれます。
受診の目安
次のような場合は、精神科や心療内科への受診を検討してください。
仕事や学校に行けない状態が続く
不眠や食欲低下が強い
気分の落ち込みや不安が改善しない
自分を傷つけたい気持ちや希死念慮がある
適応反応病は「弱いからなる病気」ではなく、誰でも強いストレスが続けば発症し得る疾患です。適切な休養と支援を受けることで、多くの方が回復を目指せます。
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