離人・感現実感消失病とは?
離人感・現実感消失病(Depersonalization/Derealization Disorder)とは
離人感・現実感消失病とは、自分自身や周囲の世界が現実ではないように感じる状態(離人感・現実感消失)が繰り返し、または持続的に起こり、日常生活に支障をきたす解離症群の一つです。
多くの人は一時的に似た体験をすることがありますが、この疾患では症状が長く続いたり繰り返されたりして、生活に大きな影響を及ぼします。
主な症状
1. 離人感(Depersonalization)
自分自身に対して現実感がなくなる状態です。
例えば、
自分が自分ではないように感じる
鏡に映る自分が別人のように見える
自分の身体が自分のものではないように感じる
自分を外から眺めているような感覚がある
感情がなくなったように感じる
2. 現実感消失(Derealization)
周囲の世界が現実ではないように感じる状態です。
例えば、
世界が夢の中のように感じる
周囲が霧やガラス越しに見えるように感じる
人や景色が人工的に見える
音が遠く聞こえる
時間の流れが遅く感じたり速く感じたりする
症状の特徴
重要な特徴は、**本人は「この感覚は現実ではない」「自分の感じ方がおかしい」と理解している(現実検討能力が保たれている)**ことです。
そのため、
「世界が偽物だと確信している」
のではなく、
「世界が偽物のように感じてしまう」
という体験になります。
原因
原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が関係すると考えられています。
心理的要因
強いストレス
PTSD
不安症
パニック症
うつ病
トラウマ
虐待
暴力
災害
事故
その他
睡眠不足
過労
一部の薬物やアルコール
診断
DSM-5-TRでは、おおむね次のような特徴が診断の中心です。
離人感、現実感消失、またはその両方がある
現実検討能力は保たれている
症状により日常生活へ支障がある
薬物や身体疾患では説明できない
治療
1. 心理療法
治療の中心です。
認知行動療法(CBT)
支持的精神療法
トラウマに配慮した心理療法
不安への対処法の習得
2. 薬物療法
この疾患そのものに対する特効薬はありません。
ただし、
抗うつ薬
抗不安薬
などが、不安や抑うつなどの併存症状に対して使用されることがあります。
パニック症との違い
項目 | 離人感・現実感消失病 | パニック症 |
主症状 | 現実感の消失、自分ではない感じ | 激しい恐怖や動悸、息苦しさ |
発作 | 持続することもある | 数分〜数十分でピークを迎えることが多い |
現実検討能力 | 保たれている | 保たれている |
統合失調症との違い
項目 | 離人感・現実感消失病 | 統合失調症 |
現実感 | 現実ではない「ように感じる」 | 妄想や幻覚によって現実の判断が障害されることがある |
病識 | 保たれていることが多い | 低下することがある |
幻覚・妄想 | 通常はみられない | 中核症状の一つ |
予後
経過は人によって異なります。
一時的に改善する人もいます。
症状が慢性的に続く人もいます。
不安やストレスを適切に管理することで症状が軽減する場合があります。
受診の目安
次のような場合は、精神科や心療内科への相談を検討してください。
離人感や現実感消失が数週間以上続く
症状のために仕事や学校生活に支障がある
強い不安や抑うつ、自傷念慮を伴う
突然の症状で、頭痛・けいれん・意識障害など神経症状もある(この場合は身体疾患の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください)
よくある誤解
「気が狂ってしまう病気」ではありません。 多くの患者さんは、自分の感じ方が通常と異なることを理解しています。
誰にでも一時的な離人感や現実感消失は起こり得ます。 強い疲労やストレス、睡眠不足などで短時間経験することは珍しくありません。
症状が長く続き、生活に支障がある場合に「離人感・現実感消失病」と診断されます。 一過性の体験とは区別されます。
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