相続開始通知者とは?
相続開始通知者とは?役割や指定する人、注意点をわかりやすく解説
相続開始通知者(そうぞくかいしつうちしゃ)とは、主に遺言信託や遺言書保管サービスなどを利用するときに、遺言者が亡くなったことを信託銀行などへ知らせる役割を担う人です。
簡単にいうと、
「本人が亡くなったら、契約している信託銀行などへ連絡する人」
と考えると分かりやすいでしょう。
信託銀行は遺言者が亡くなったことを自動的に知ることができるとは限りません。そのため、生前の契約時に通知を担当する人をあらかじめ指定しておき、その人から死亡の連絡を受けることで、遺言執行などの手続きを開始する仕組みが採られています。三井住友信託銀行では、あらかじめ届け出た通知者から逝去の連絡を受けることで、遺言信託の執行業務を開始すると案内しています。
「相続開始」とは?
相続は、法律上、人が亡くなったことによって開始します。
そのため「相続開始」とは、基本的に「本人が亡くなり、相続が始まったこと」を意味します。
相続開始通知者は、その事実を信託銀行などへ知らせる役割を担います。
相続開始通知者は何をするの?
代表的な役割は、遺言者が亡くなった際に、
信託銀行などへ死亡の事実を速やかに連絡すること
です。
サービスによっては、死亡を確認できる書類などの提出を求められることもあります。
通知を受けた金融機関では、その契約内容に応じて、
遺言書の確認
遺言執行者への就任手続き
相続人・受遺者の確認
相続財産の調査
財産目録の作成
預貯金などの相続手続き
不動産などの名義変更に関する手続き
遺産の引き渡し
などを進めていきます。
三井住友信託銀行の遺言信託でも、あらかじめ指定された通知者から逝去の連絡を受けた後、遺言執行の手続きへ進む仕組みになっています。
相続開始通知者は遺言執行者とは違うの?
ここは重要なポイントです。
相続開始通知者と遺言執行者は別の役割です。
相続開始通知者
主な役割は、
「遺言者が亡くなったことを金融機関などへ知らせること」
です。
遺言執行者
遺言執行者は、
「遺言書に書かれている内容を実現するための手続きを行う人または法人」
です。
たとえば信託銀行を遺言執行者として指定している場合、相続開始通知者から死亡の連絡を受けた後、信託銀行が遺言執行に関する手続きを開始します。
したがって、
相続開始通知者=亡くなったことを知らせる人
遺言執行者=遺言を実行する人
と区別すると分かりやすいでしょう。
相続開始通知者は相続人でなければならない?
必ずしも「相続開始通知者」という名称そのものが、民法上の相続人の資格を意味するわけではありません。
遺言信託などのサービスでは、契約時に金融機関所定の条件に従って通知者を指定します。
たとえば、
配偶者
子ども
兄弟姉妹
その他の親族
など、本人の死亡を早く把握できる身近な人が候補になることがあります。
実際に指定できる人の範囲については、金融機関や商品によって異なるため、契約時に確認する必要があります。
なぜ相続開始通知者が必要なの?
信託銀行が遺言書を保管していても、本人が亡くなった瞬間に自動的に相続開始を把握できるとは限りません。
そこで、
本人の死亡を把握できる人 → 信託銀行へ連絡 → 遺言執行開始
という連絡経路を生前に作っておきます。
みずほ信託銀行の遺言書管理信託でも、契約時に相続開始通知者を指定し、相続開始後にはその通知者から銀行へ連絡する仕組みが案内されています。
遺言信託との関係は?
相続開始通知者は、特に遺言信託や遺言書管理サービスで登場することが多い言葉です。
たとえば遺言執行まで依頼するサービスでは、
生前に遺言書を作成する
信託銀行と契約する
相続開始通知者を指定する
信託銀行が遺言書を保管する
遺言者が亡くなる
相続開始通知者が信託銀行へ連絡する
信託銀行が遺言執行手続きを開始する
という流れになります。
遺言書を保管するだけの場合はどうなる?
遺言信託には、遺言執行まで依頼するサービスだけでなく、主に遺言書を保管してもらうタイプもあります。
たとえば、みずほ信託銀行の遺言書管理信託では、相続開始通知者から相続開始の通知を受けた後、指定された遺言書の受取人へ遺言書を渡す仕組みとなっています。
つまり、相続開始通知者からの連絡が、
「保管されている遺言書を相続手続きへつなげるきっかけ」
になります。
相続開始通知者を選ぶときのポイント
相続開始通知者は、本人が亡くなったことを金融機関へ確実に伝えられる人を選ぶことが重要です。
たとえば、
日頃から連絡を取っている
本人が亡くなったことを早期に把握できる
信託銀行との契約があることを理解している
必要な連絡や書類提出を行える
長期間にわたって連絡が取れる可能性が高い
といった点を考えて選ぶとよいでしょう。
指定した人には伝えておいた方がいい?
相続開始通知者に指定する場合には、本人へその役割を説明しておくことが重要です。
本人が、
「自分が相続開始通知者になっていることを知らない」
という状態では、死亡後に金融機関への連絡が行われず、遺言執行の開始が遅れる可能性があります。
そのため、
「自分が亡くなったら、この信託銀行へ連絡してほしい」
ということとともに、
金融機関名
担当部署
契約の存在
必要な連絡方法
などを伝えておくと安心です。
相続開始通知者の住所などが変わったら?
遺言信託は、契約してから実際に相続が開始するまで何年、何十年とかかることもあります。
その間に、
通知者が引っ越す
電話番号が変わる
姓が変わる
通知者自身が亡くなる
本人との関係が変化する
といったことも考えられます。
そのため、変更があった場合には契約している金融機関へ届け出たり、必要に応じて通知者を変更したりすることが重要です。
みずほ信託銀行では、遺言書管理信託について、相続開始通知者などの住所変更や異動の有無を定期的に確認する仕組みを案内しています。
相続開始通知者になると遺産をもらえるの?
相続開始通知者に指定されたことだけを理由として、遺産を受け取る権利が発生するわけではありません。
遺産を受け取れるかどうかは、
法律上の相続人であるか
遺言書で財産を受け取る人として指定されているか
信託契約などで受益者となっているか
などによって決まります。
相続開始通知者は、基本的には「相続開始を知らせる」という役割を担当する人です。
「相続開始通知者」は法律上の資格?
「相続開始通知者」という言葉は、主に信託銀行などの遺言信託・財産承継サービスの契約で使われる名称です。
弁護士や司法書士のような国家資格ではなく、また「相続人」や「遺言執行者」と同じ意味でもありません。
金融機関ごとに「通知者」など名称や具体的な役割が異なる場合があります。
そのため、契約書や商品説明書を確認し、
「誰が、いつ、どこへ、何を通知するのか」
を把握しておくことが大切です。
相続開始通知者は遺言執行のスタートを知らせる重要な役割
相続開始通知者を簡単にまとめると、
「遺言者が亡くなり相続が始まったことを、遺言書を保管している信託銀行などへ知らせる人」
です。
遺言信託では、遺言書を作成して保管しておくだけではなく、本人が亡くなったことを金融機関へ確実に知らせる仕組みも必要になります。
そのため、生前のうちに信頼できる人を通知者として指定し、その役割や連絡先を共有しておくことが、遺言を円滑に実行するための大切な準備になります。
※本記事は2026年8月時点の一般的な遺言信託等の仕組みについて解説したものです。「相続開始通知者」の名称・指定できる人・必要書類・具体的な役割は、信託銀行や契約商品によって異なります。実際に契約する場合は、利用する金融機関の契約書・約款・商品説明書などをご確認ください。
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