ICDー11とは?
ICD-11(International Classification of Diseases 11th Revision:疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第11版)とは、世界保健機関(WHO)が作成・管理している、世界共通の病気・けが・健康問題を分類するための国際標準です。
医療機関、公衆衛生、研究、保険制度などで共通の「病名コード」として広く利用されています。
ICD-11の目的
ICD-11は、次のような目的で使われます。
病気の診断名を統一する
世界各国で統計を比較できるようにする
医療・研究・行政で共通の分類を使う
死因や疾病の発生状況を把握する
医療費や保険制度の運用を支援する
ICD-11の特徴
ICD-11は、前版(ICD-10)から大きく改訂されました。
主な特徴は次のとおりです。
デジタル化を前提とした設計
約17,000の分類項目(コードの組み合わせによりさらに多くの状態を表現可能)
最新の医学・科学的知見を反映
世界各国の専門家が作成に参加
電子カルテとの連携を考慮
精神疾患の分類
ICD-11では、「精神、行動または神経発達の障害(Mental, Behavioural or Neurodevelopmental Disorders)」という章で精神疾患が分類されています。
主な分類には次のようなものがあります。
神経発達症
統合失調症スペクトラムおよびその他の一次性精神症群
気分症
不安または恐怖関連症群
強迫症または関連症群
ストレス関連症群
解離症群
摂食症または摂食関連症群
物質使用症群
パーソナリティ症
神経認知障害
ICD-11とDSM-5-TRの違い
項目 | ICD-11 | DSM-5-TR |
作成機関 | WHO | アメリカ精神医学会 |
対象 | すべての病気・健康問題 | 精神疾患のみ |
主な目的 | 国際的な疾病分類・統計 | 精神疾患の診断基準 |
利用地域 | 世界各国 | 米国を中心に世界中の精神医療・研究でも広く利用 |
つまり、
ICD-11は「すべての病気の国際分類」
DSM-5-TRは「精神疾患に特化した診断マニュアル」
という違いがあります。
日本での利用
日本では長年ICD-10が医療統計などで広く使われてきましたが、ICD-11への移行が段階的に進められています。導入時期や適用範囲は、制度やシステムの整備状況によって異なります。
具体例
例えば「うつ病」は、
ICD-11では気分症に分類されます。
「統合失調症」は統合失調症スペクトラムおよびその他の一次性精神症群に分類されます。
「自閉スペクトラム症」は神経発達症に分類されます。
DSM-5-TRとの関係
精神科では、診療・研究ではDSM-5-TRの診断基準を参考にしつつ、医療統計や国際的な疾病分類にはICD-11を用いることも多く、両者は競合するものではなく、目的に応じて使い分けられています。
ポイント
ICD-11はWHOが策定した世界共通の疾病分類です。
精神疾患だけでなく、内科、外科、感染症、がんなどあらゆる病気を対象としています。
医療、研究、公衆衛生、保険制度などで幅広く利用される国際標準であり、世界中で共通の病気の「言語」として重要な役割を果たしています。
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